副業の労働時間に関するルールとは?本業との通算が必要?

2027年4月より、労働時間の通算ルールが見直される予定です。これは、副業やダブルワークに取り組む労働者の健康維持と、企業側の管理負担軽減を両立させることが主な目的です。

本記事では、現行の労働時間の通算ルールが適用される条件や、割増賃金(残業手当)が支払われる仕組みについてわかりやすく解説しています。通算ルールが適用されない場合の注意点にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

労働時間の通算ルールは「雇用契約」を結ぶ場合に適用される

結論からお伝えすると、労働時間を通算する必要があるのは本業・副業ともに雇用契約を結び、ともに労働基準法上の「労働者」に該当する場合です。そもそも労働時間の通算ルールとは何か、どのようなケースでは適用されないのかを確認しておきましょう。

労働時間の通算ルールとは

労働時間の通算ルールとは、事業場単位ではなく労働者ごとに労働時間を管理する考え方のことです。労働基準法では、法定労働時間を1日8時間、週40時間と定めています。この基準を超えて従業員を労働させる場合、使用者は割増賃金(残業手当)を支払わなければなりません。

通算ルールが適用されると、本業・副業の労働時間が合算されます。つまり、本業+副業で1日8時間、週40時間を超えて就業した場合、時間外労働を実際に行わせた勤務先に割増賃金の支払い義務が生じるというルールです。

業務委託契約に通算ルールは適用されない

労働時間の通算ルールは、労働基準法にもとづいています。したがって、労働基準法が適用されない業務委託契約は通算ルールの対象外です。

たとえば、教材編集者として業務を受託する場合、業務の進め方や取り組む時間帯は受託者に委ねられています。特定の事業者との間で雇用契約を締結しておらず、就労時間に関しても管理されていないからです。よって、会社員の方が副業で教材編集の仕事を受託するようなケースでは、副業の労働時間を本業の勤務先に報告する必要はありません。

割増賃金は本業・副業どちらから支払われる?

では、パート・アルバイトや派遣社員として副業に取り組む場合はどうでしょうか。このようなケースでは雇用契約を結ぶことになるため、通算ルールが適用されます。実際に割増賃金がどのように支払われるのか、基本的な仕組みを見ていきましょう。

副業の勤務先が残業代を支給するパターン

例)本業:所定労働時間8時間・副業:所定労働時間3時間

本業の勤務先で8時間働いたのち、副業の勤務先で3時間働いたとします。いずれも所定労働時間内に収まっていますが、通算すると11時間働いていることになるため、1日8時間の上限を超えてしまいます。

この例では、1日8時間の労働時間上限を超えた事由が副業の勤務先にあるため、副業の勤務先が3時間分の割増賃金を支払うことになります。

本業・副業双方の勤務先が残業代を支給するパターン

例)本業:所定労働時間8時間・副業:所定労働時間2時間

本業の勤務先で9時間、副業の勤務先で3時間働いたとします。この場合、本業の勤務先で1日8時間を超えた分の1時間、副業の勤務先でさらに働いた分の3時間が時間外労働に該当します。よって、合計4時間分の残業手当が支払われるという仕組みです。

この例では、本業・副業の勤務先がそれぞれ負担するべき割増賃金を明確にする必要があります。したがって、割増賃金計算や安全配慮義務の観点から、勤務先から申告を求められることがあります。

通算ルールが適用されない場合の注意点

現実的な状況としては、雇用契約を締結しない形で副業に取り組んでいる人も多いのが実情です。労働時間の通算ルールが適用されない条件で働く場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

過重労働に陥らないよう計画的に取り組む

労働時間の管理対象にならない条件で働く場合、過重労働に陥らないよう自己管理を徹底することが重要です。労働時間の通算ルールが設けられた背景には、労働者が過重労働によって健康を害したり、適切な割増賃金が支払われなかったりする事態を回避する意図があります。

業務委託契約は労働時間ではなく成果物によって報酬が支払われる契約形態のため、働き過ぎてしまうリスクが常に隣り合わせの状態です。たとえば、副業に充てられる週当たりの時間をあらかじめ試算したり、本業の残業時間が増加しやすい繁忙期には副業の業務量を抑えたりする工夫が求められるでしょう。

本業に影響が及ばないよう留意する

副業が多忙になるあまり、本業に影響が及ぶようでは本末転倒と言わざるを得ません。睡眠不足によって本業の勤務時間帯に眠くなってしまったり、注意散漫になってミスが増えたりすることのないよう、十分に留意する必要があります。

特に副業を始めた当初は、余裕をもってこなせる業務量を判断するのが難しいことも少なくありません。スケジュールがタイトな至急案件はできるだけ受注を見合わせるなど、本業を第一に考えて業務量を調整することが重要です。

まとめ

副業の労働時間を管理する必要があるのは、雇用契約を締結して就業する場合です。業務委託契約のように雇用契約を結ばない働き方であれば、労働時間の通算ルールは適用されません。一方で、通算ルールが定められた経緯を踏まえると、副業によって過重労働に陥ることのないよう十分に留意する必要があるでしょう。

本記事は一般論をまとめたものであり、個別の状況により適切な対応が異なります。個別のご相談には、弊社では対応しておりません。社労士などの専門家へお問い合わせいただきますようお願いいたします。