支払調書は確定申告に必要?発行は報酬支払元の義務?

副業ワーカーや個人事業主/フリーランスに、編集プロダクションなどの取引先から「支払調書」が発行されることがあります。確定申告書を作成する際に必要な書類なのか、判断に迷ってしまうケースもあるでしょう。
この記事では、支払調書とは何か、事業者から委託先への発行は義務なのか、といった点をわかりやすく解説しています。確定申告時の取り扱いにもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
支払調書とは
そもそも支払調書とはどのような書類なのでしょうか。基本事項を整理しておきましょう。
報酬を支払った側が作成する書類
支払調書とは、報酬等を支払った側が支払い先に発行する法定調書のことです。支払調書と呼ばれる書類は35種類あり、このうち報酬に関するものは「報酬、料金、契約及び賞金の支払調書」と呼ばれます。

出典:国税庁|料金、契約金及び賞金の支払調書
たとえば、校正料や原稿料、編集料、イラスト制作費などが編集プロダクションから支払われた場合、1年間の報酬額が支払調書に記載されています。発行時期に決まりはありませんが、1月頃に前年分の支払調書を発行するのが慣例です。
支払元には税務署への提出義務がある
報酬を支払った事業者は、支払調書を税務署へ提出するよう義務づけられています。誰に対して、いくらの報酬を支払ったのかを明確にする必要があるからです。
裏を返すと、副業ワーカーやフリーランスに支払われた報酬額は、依頼元を通じて税務署へ通知されています。確定申告を行う必要がある人が無申告だった場合、報酬を受け取っている事実が発覚するのはこのためです。
支払調書の発行は義務?
では、業務を発注する事業者は発注先に支払調書を必ず発行しなければならないのでしょうか。発行義務の有無について解説します。
事業者から委託先への発行は任意
結論からお伝えすると、事業者から委託先に支払調書を発行する義務はありません。事業者に義務づけられているのは、前述のとおり税務署への提出のみです。
ただし、実際には委託先の副業ワーカーやフリーランスが確定申告を行う際の便宜を考慮して、支払調書を発行しているケースが少なくありません。よって、複数の事業者と取引している人の場合、「支払調書が届く会社と、届かない会社がある」といったことが起こり得ます。
支払調書を発行してほしい場合どうすればいい?
支払調書の支払い先への発行は任意のため、事業者によっては届かないケースがあります。一方で、特に白色申告を選択している方の場合、支払調書の記載内容にもとづいて確定申告書を作成することもあるでしょう。
支払調書を発行してほしい場合には、年明けに取引先へ発行を依頼しておくことをおすすめします。前年に取引を開始した事業者の場合、支払調書を例年発行しているか事前に確認しておくとスムーズでしょう。
支払調書は確定申告時に必要?
確定申告書を提出する際、支払調書を添付する必要があるのでしょうか。支払調書と確定申告の関係について解説します。
支払調書の添付は不要
確定申告書を所轄税務署へ提出する際に、支払調書を添付資料として提出する必要はありません。支払調書はあくまでも「年間これだけの報酬を支払いました」「間違いありませんね?」という意味合いで発行される確認用の書類だからです。
つまり、副業ワーカーやフリーランスが報酬を受け取るごとに帳簿づけを間違いなく実施していれば、支払調書なしで確定申告書を作成しても差し支えありません。
帳簿との一致を確認する際に活用できる
確定申告書の作成時には、支払調書が役立つ場合があります。ご自身が帳簿に記載してきた1年間の報酬額合計や源泉徴収税額と、支払調書に記載されている金額は基本的に一致しているからです。両者に大きなずれが生じている場合は、まず帳簿に記載漏れや間違いがないか確認した上で、取引先に正しい内容の支払調書を発行してもらいましょう。
なお、取引先によって会計処理の方法が異なるため、支払調書の記載金額に微妙なずれが生じる可能性があります。たとえば、副業ワーカーやフリーランス側が現金主義(報酬が入金された時点で記帳する方式)を採用しており、取引先が発生主義(売上が確定した時点で記帳する方式)を採用しているようなケースでは、会計処理を行うタイミングがそれぞれ異なるからです。
支払調書は副業/フリーランスワーカーにとって確認用書類
支払調書は報酬の支払元である編集プロダクション等が税務署へ提出する義務のある書類です。報酬を受け取る側の副業ワーカーやフリーランスに支払調書を発行するかどうかは、事業者ごとの判断に委ねられています。支払調書なしでも確定申告書の作成は可能ですが、確認用に必要な場合は取引先に発行を依頼するとよいでしょう。
※本記事は一般的な税務情報をまとめたものであり、個別の状況により適切な対応が異なります。確定申告に関する個別のご相談には、弊社では対応しておりません。税務につきましては、税務署または税理士等へお問い合わせいただきますようお願いいたします。


