教科書「準拠」教材とは?標準版との違いや編集・制作時の留意点を解説

教材制作に携わっていると、教科書準拠という言葉をよく耳にします。「準拠」は「教科書と同じ」ではなく、あくまでも「教科書に準じている」という意味を表す言葉です。
この記事では、教科書準拠教材の特徴や標準版との違いについてわかりやすく解説しています。教科書準拠教材を編集・制作する際に注意しておきたい点も挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
教科書準拠教材とは
教科書準拠教材とは、教科書の単元や用字用語に合わせて作られている教材のことです。教科書と一口に言っても、発行している出版社ごとに単元の並び順や用字用語は少しずつ異なります。各社の教科書に対応した内容で作られている問題集やワークブック、ドリルなどは、教科書準拠教材の一例です。
学校の授業の予習復習や定期テスト対策向けの教材
教科書準拠教材が必要とされる背景には、教科書内容に沿って学習したいというニーズがあります。たとえば、学校の授業に合わせて予習復習をしたい、定期テストに向けて勉強したいといった生徒にとって、入試対策用の教材は単元内容や難易度の面で適切とはいえません。「教科書の〇ページから〇ページの内容を復習したい」といった要望にぴったり合った教材を提供することが、教科書準拠教材を制作する主な目的です。
準拠版と標準版の違い
標準版とは、主要な教科書会社の内容に幅広く対応できるように制作されている教材のことを指します。各社の教科書内容に完全に合わせるのではなく、多くの教科書に共通する事項をバランス良く取り扱っている点が特徴です。
教科書準拠版と標準版のどちらを制作するかは、教材の企画によって異なります。よって、教材の編集や執筆、校正などを引き受ける際には、担当する教材が準拠版・標準版のいずれかを必ず確認しておく必要があります。
教科書準拠教材の特徴
教科書準拠教材の大きな特徴として、「教科書ごとの履修順になっている」「教科書に合わせた用字用語が使われている」の2点が挙げられます。
教科書会社ごとの履修順になっている
教科書準拠教材の単元や章立ては、各社の教科書に合わせて設けられています。たとえば、中学英語の検定教科書を発行している出版社は6社です。大多数の教科書は中学1年の導入単元でbe動詞と一般動詞をほぼ同時に扱いますが、一部の教科書ではbe動詞と一般動詞をそれぞれ別単元として習います。このような履修順の違いを踏まえて、教科書に合わせて学習できるよう配慮されている点が大きな特徴です。
教科書に合わせた用字用語が使われている
準拠教材は、教科書ごとの用字用語に合わせて作られています。英語であれば、自転車を表す単語にはbikeとbicycleがあります。より口語的なbikeを先に習う教科書が多く見られますが、小学校の英語ではbicycleを採用している教科書もあることから、bike/bicycleの両方を基本語として併記している教科書もあるのです。
教科書準拠教材ですから、教科書で扱っていない用語や英単語、漢字などを出題するのは避けなくてはなりません。こうした配慮が徹底されていることも、教科書準拠教材の大きな特徴です。
準拠教材を編集・制作する際の注意点
教科書準拠教材の編集・制作に携わる際には、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
教科書に合わせるべき事項を確認しておく
準拠教材といっても、教科書にどこまで合わせるかは教材によって方針が異なります。未習語や未習事項は原則掲載しない、という方針のこともあれば、やむを得ない場合に限り語注を付記すれば掲載可、という場合もあります。
未習事項がNGの場合、すでに習っている漢字でも音訓の未既習を区別する場合や、同じ英単語でも品詞ごとの未既習を厳密に区別する場合があります。たとえばEnglishという名詞を習っていても、an English teacherのように形容詞として用いられているEnglishは使用できない、といったことが起こり得るのです。
教科書の記述を丸写しするのはNG
教科書準拠教材は、あくまでも教科書内容を参考に編集・制作される教材です。教科書の編集権や著作権は教科書会社および掲載文の著者に属していますので、丸写ししたものを教材として販売することはできません。つまり、「教科書内容に合わせつつ、教科書とは表現を変える」という調整を行う必要があります。
文章以外の図版やイラストについても同様です。教科書に掲載されているイラストを明らかに模したものにならないよう、構図を変えたり別の切り口から取り上げたりする工夫が求められます。
まとめ
教科書準拠教材は、教科書の単元や用字用語に合わせて作られている教材のことです。教科書の内容に合わせながらも、教科書と「完全に同じ」にならないよう留意して編集・制作する必要があります。教材制作に携わる際には、準拠教材に特有の注意点を踏まえて取り組むことが大切です。今回紹介した教科書準拠教材の特徴や制作上の注意点を参考に、執筆や校正、編集業務に携わっていきましょう。


