教育漢字とは?常用漢字との違いや教材編集で重要視される理由

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教材の編集に携わる上で押さえておきたい知識として「教育漢字」が挙げられます。特に小学生が対象の教材づくりにおいては、教育漢字は欠かせない知識の1つです。

この記事では、教育漢字に関する基本的な知識や常用漢字との違い、小学・中学履修漢字について知っておきたいことをわかりやすくまとめています。教育漢字が教材編集で重要視される理由も解説していますので、ぜひ参考にしてください。

教育漢字とは

はじめに、教育漢字に関する基本的な知識を整理しておきましょう。

小学校6年間で習う漢字

教育漢字とは、小学1年~6年で習う漢字のことです。2017年に告示された学習指導要領では、1,026字が小学校までに習う「教育漢字」として定められています。各学年で習う漢字数の数は次のとおりです。

・1年:80字
・2年:160字
・3年:200字
・4年:202字
・5年:193字
・6年:191字

教育漢字はいずれも常用漢字に含まれています。つまり、常用漢字の中でも特に教育的観点から小学校のうちに習得しておくべき漢字が厳選されているのです。

常用漢字との違い

常用漢字とは、一般的な社会生活において使われている漢字のことです。2010年に改訂された「常用漢字表」には、2,136字の漢字が掲載されています。反対に、この表に含まれていない漢字は「常用外漢字」と呼ばれます。

常用漢字は小学校だけでなく、中学校でも習います。中学修了までに常用漢字がおおよそ理解できるようになることは、義務教育の目標の1つです。先述のとおり教育漢字は1,026字ですから、常用漢字のうち半分弱を小学生のうちに習うことになります。

小学・中学履修漢字について知っておきたいこと

小学校で習う漢字と中学校で習う漢字には、履修する順序に大きな違いがあります。特に教材編集の実務では、両者の違いを十分に理解しておくことが大切です。

小学校で習う漢字は学年ごとに決まっている

小学校で習う漢字は、何年生でどの漢字を扱うのかが明確に定められています。「学年別漢字配当表」に沿って教えることになるため、通う小学校の地域や使用する教科書によって差が生じることはありません。日本国内で統一された基準が定められている点が、小学校で習う漢字の大きな特徴です。

具体的にどの学年でどの漢字を習うかについては、「学年別漢字配当表(Wikipedia)」をご参照ください。

中学校以降は教科書によって履修内容が異なる

常用漢字のうち、教育漢字に含まれていない1,110字に関しては中学以降で習います。ただし、小学校のように「何年生でどの漢字を扱う」といった統一された基準は定められていません。

したがって、中学以降は習う漢字が教科書によって異なります。たとえば、ある教科書では中学2年までに習っている漢字が、別の教科書では中学3年で出てきたり、中学卒業まで習わなかったりすることも起こり得るのです。

教育漢字が教材編集で重要視される理由

教育漢字を学年ごとに把握しておくことは、教材編集に携わる上で重要なポイントの1つです。なぜ教育漢字が教材編集で重要視されているのか、主な理由を見ていきましょう。

未習漢字が学習を妨げないようにするため

1つめの重要な理由として、未習事項の扱いが挙げられます。特に教科書準拠教材では、習っていない事項が教材に掲載されているのは基本的にNGです。未習事項が学習の妨げになる(子どもが「読めない」「分からない」と感じる)ことがないよう、配慮する必要があるからです。

これは国語の教材だけでなく、算数や理科・社会といった他教科の教材にも通じる話と捉えてください。小学生向けの教材を編集する際に「どの漢字を何年生で習っているのか」が重視されるのはもちろんのこと、中学性向けの教材に関しても「どこまでを小学校で習ったのか」を把握しておかなくてはなりません。

高校入試で出題されるケースが多いため

小学校までに習った漢字は、高校入試でもよく出題されます。特に漢字の「書き」に関しては、小学校高学年で習った漢字が出題されることも少なくありません。

入試対策が目的の教材を制作する際には、過去の入試問題を分析することになります。その際、「なぜこの漢字が出題されているのか」を判断するには、教育漢字に関する知見が欠かせません。たとえば、「この県の入試には小学5~6年で習う漢字の『書き』がよく出題される」といった分析をするためにも、教育漢字を把握しておく必要があります。

まとめ:教育漢字を学年ごとに頭に入れておこう

教材の編集や校正に携わる人にとって、教育漢字に関する知識は必須事項の1つといえます。国語の教材に限らず、どの教科の教材も基本的には日本語で記述されているからです。まずは教育漢字と常用漢字の違いを理解した上で、学年漢字配当表を随時確認する習慣を身につけることが第一歩となるでしょう。